喪中はがきの挨拶文に句読点をつけない理由

喪中はがきを作るときの注意点として、「挨拶文に句読点はつけない」というのがあります。
例えばこんな感じです↓

祖父 山田一郎が八月十二日に九十九歳で永眠いたしました
本年中に賜りましたご厚情を深謝申し上げます
明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます

このように、句読点をつけていません。
これはどうしてなのでしょうか?その理由は以下の通りです。

日本の手紙や文章にはもともと句読点がなかった

江戸時代の手紙を見ると、現代の我々では判読できないような文字で書いていますが、特徴の一つに句読点が書かれていません。

そもそも、昔の日本には句読点をつけるという文化はありませんでした。
句読点をつけ始めたのは、明治時代からです。それまで毛筆で書かれていた文字が活字になり、印刷されて出回るようになりました。

そうすると、毛筆での手書きに比べ、文章の区切りが分かりにくく、読みづらくなりました。
そのために、明治20年以降に句読点が使われるようになったのです。

句読点のルールというものも制定され、明治39年には文部省大臣官房圖書課の「句読法案(句読点法案)」が制定されたのです。

このように、日本人が句読点をつけ始めたのは明治以降という短い歴史でしかなく、長い歴史の中では句読点をつけないのが、当たり前だったのです。

句読点をつけると、相手に失礼?

句読点をつける目的は、文章を読みやすくするためですが、その背景には識字率の問題もあったように思います。
明治以降、今まで本を読んでこなかった人たちが新聞や小説を読むようになりました。

急激にそうした文化が広まりましたが、識字率がそれに追いついてなかったのではないかと思います。
そのため、文章を読むのに慣れていない人でも、読めるように句読点がつけられるようになったのでは。

ということは、読解力のある大人に対して句読点をつけた文章を送るのは、読み手に対して見下しているという説まであります。

いずれにしても、喪中はがきに句読点をつけないのは、こうした日本の慣習からくるものだということです。

句読点をつけないのは喪中はがきだけじゃない

句読点をつけないのは、喪中はがきだけじゃありません。
例えば挨拶状。
転職や退職の挨拶状、事務所移転の挨拶状、社長就任の挨拶状なども、句読点をつけません。

表彰状も句読点をつけません。

このように、昔からある手紙や挨拶文は、句読点をつけないのが当たり前となっています。
喪中はがきの文章を書くときにも、句読点をつけないように注意しましょう。

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